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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

――あれ見よ、二人の大久保を。べったり、敵へ貼りついたまま、雷鳴が落ちても離れそうもないぞ。敵にとっては、さぞうるさい膏薬であろうな」

諧謔のうちに、士気を励ましながら、左右へ向って、信長は哄笑をふり撒いていた。

大勢は見えてきた。全甲軍をおおう敗色は、もう策の施しようもない。

勝頼の本陣すら、重囲のうちに陥ちていた。

左側から迫る徳川勢。また、錐揉み式に、前衛を突破し、中軍へ目がけて猛襲して来る織田勢。――その中に、勝頼をめぐる幾多の旗さし物や馬簾や母衣や伝令旗や、また馬のいななきや、甲冑の光や、星の如き刃影槍光は、血けむりと馬煙につつまれて、さながら潮旋風に囚われた一個の巨船のように、その運命は危うく見えていた。

「今は……」

と、丸山を降った馬場信房の隊だけは、まだそのとき、無傷を保ち得ていたのである。

信房は、麾下の一士を、勝頼のところへやって、

「もういけません」

と、いわせた。

退却をすすめたのである。

「無念だ。残念だ」

勝頼は、なお、地だんだ踏んでいたという。彼の気性としてさもあろう。しかし、大きな事実には、彼も抗し得なかった。

敵に、撃砕されて、内藤修理そのほかの中央部隊の諸将も、各※(二の字点、1-2-22)朱にまみれて退って来た。