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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

老母は、それをもって、秀吉を教訓しようなどとは、ゆめ、考えてしているのではないが、秀吉は、時折に、そうした母の丹精を食膳に見せられると、

(……勿体ない)

と、感じるらしく、また、中村の貧農時代を、必然、思い出すらしく、一箸の汁の菜、一片の田楽焼の茄子にも、心をあらためて、賞味するのがつねであった。

「……寧子よ、ことしは、いつまで残暑のつづくせいか、まだ茄子の花が、尽きもやらで、たくさんに咲くことよ。これではまだまだ、小さいのが、幾朝も採れそうじゃの」

老母は、茄子をもぎ始める。寧子は一つの籠を満たして、またべつな籠を持った。何もかも忘れ果てて。

すると、うしろから、

「やあ、母上。寧子もここか」

と、この頃にはめずらしく早起きした良人が声をかけて来た。

「ぞんじませんでした。おゆるし下さいませ。お目ざめとも気づかずに」

寧子が詫びると、

「いや何、にわかに、刎ね起きたので、小姓どもすら、あわてておる」

と、秀吉は、これも近来になく晴々とした顔で――

「物見の者が申すには、安土の方から、お使番の小旗を立てた軽舸が、まっすぐに、此方へ急いで来るという。いま、竹中半兵衛がそう告げて来たゆえ、やにわに起き出て、まず、城中の御社へ詣で、ここ数十日の懈怠をおわび致して来た」