Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
――しかし、御当家としては、すでに御子息のうちお三方まで、毛利家へ質子として差出してあるものを、今さら、如何ともいたし方のない立場ではござるまいか」
と、旧条約をまもって、現状維持をよしとするような意見をのべた。
それを聞くと、宇喜多直家のこころは、忽ち決したらしく、眉をあげて一同へいった。
「もし、天下の大勢が、東にありとすれば、信長、秀吉の鋭鋒にあたって、当家は、毛利家の楯となってほろぶに過ぎん。ひとたび家のほろぶ時は、父母兄弟、そのほか一族など、何百人が犠牲となるやらわからぬ。――いま眼を閉じて、三人の子を捨て、数万の将兵を救い、あわせて天下に益することができるなら――直家の子らは、よろこんで敵国の土に瞑してくれるにちがいない。この直家も、父たる情を超えて、より大きな意義に味方し、秀吉と手を結ぶも、決して武門の辱ではあるまい」
大決心といわねばならない。
こういう時に、もし首脳たるものが迷っていたら、果てしもなく、内争と対立を生んで、すべての者が、国土のためを念じながら、結果は反対に、亡滅の底へ急いで行ったにちがいない。
(三人の子を、敵国の質に捨て去るも、この国土をまもり、幾万の将士を救い得れば、自分の希うところである)