Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「――すると、信長公のお肚の裡では、やがて備前美作をも斬り取りにし、宇喜多家も取り潰した上、その領国を御自身の幕下へ頒け与えようとの御目算であったとみえる。いや、そう事なく参ればいいがな」
と、軽く笑い放って、
「目算どおりにゆかぬのが合戦だからな。一日の生活ですら、ゆうべの考えも今朝変り、今朝の目企が昼にはかえさせられる。殊に中国平定の業は前途まだ遼遠……」
独り嘯くようにいっていたが、急に、
「いや、お使い、御苦労であったな。決して、案じられな案じられな」
と、官兵衛の機嫌と気疲れをなぐさめるのであった。
官兵衛はふと、自分の身ぐるみ生命までを、この人の手に持ってゆかれる気がした。――この人のためなら死をもいとえまいと思われるものが、自分でも、おそろしいほど切実に胸へこみあげていた。
それと。
信長のこころを読むことの明らかなことである。仕えている主君とあれば、それくらいにまで、主君の肚を知らないでは充分な奉公はできないにちがいないが――それにしても、さすがは――と、秀吉が信長の草履を取ってから二十年そこそこの間に、今日の信望と位置をかち得たことの偶然でないのを、いま眼のあたり知ったここちがした。