Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「ちょっと、中座するぞ」
と断って奥へかくれてしまった。
入れちがいに、そこの口や、書院窓や、廊下先から、どやどやと室いっぱいに入って来たのは十数人の屈強なる兵だった。――ぐるりと、官兵衛のまわりに甲冑と刀槍の壁を作って、
「お立ちなさい」
と一斉にいった。
官兵衛は、杯をおいて、その物々しい顔を見まわしながら、
「立ってどうするのだ」
と、訊ねた。
ひとりの部将が、沈痛な声で申し渡した。
「主人摂津守のおいいつけでござる。城内の牢獄までご案内してまいる」
「――獄へ?」
官兵衛は、こう口走りながら、からからと高笑いしたくなった。しまった! と思うとたんに、余りにも手際よく村重の陥穽にかかっていた自分の姿が――自分ながらおかしくなったものとみえる。
「やあ。そうか」
こう自問自答しながら、彼はなお笑い顔を収めずに腰をあげた。そしてこんどは彼の方から、硬ばっている周囲の武者たちをうながした。
「行こう。――いや、素直に参るしかあるまい。摂津守の御好意とあれば」
「…………」
無言のまま武者たちは官兵衛を囲んで大廊下へ流れ出した。戛々と具足のひびきと十余名の跫音が一つになる。