Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
「ならば、なぜ斬らぬ」
「質子の身は、私の国許にしかとお預りいたしてある。左様に急がずとも、いつでも為し得ることと思いまして」
「途方もない仁だ。悠長にもほどがある。信盛とても左様な不つつかなお使いの口上を伝えた覚えはない」
「もとよりお使いの落度ではない。半兵衛がわたくしの考えの下に、わざと遅れていたものに違いありませぬ」
「わざと」
「大事な御用と存じながら、つい病体の思うにまかせぬまま……」
「お国許へ飛脚一通飛ばせば、それで事は足りように」
「いや、他家の質子とはいえ、数年お預りしておれば、おのずから人情もうつり、可憐しさにも囚われ、日常、左右にあるものでは、容易に斬れるものではありません……万が一、家来の不心得などから、贋首などを御覧に供えては、信長公にも申しわけもないことと思案の末、自身が参って斬ろうと考えておりました。……そのうちに、病もいつか」
と、半兵衛は云いかけて、寒々と咳き入った。
半兵衛は懐紙をとり出して自分の口をつつんだ。咳き始めると容易に歇まないらしいのである。傍らにいた家臣はうしろへ寄り添ってその苦しげな背をしきりと撫でている。
「…………」