Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
そもそもは洲股の戦いで、斎藤方の湧井将監てえ八十騎持ちの侍に出会い、あの河原でだ、そいつの槍を、ふん奪くろうとしたら、突いて来やがった。交わしたはずみに、肉をチョッピリ削がれたのが、いまもって、この美男子の玉に瑕となっている。何を笑う。やい、おれの禿を笑ったな。戦の味も知らねえくせに、このおびんずるめ」
いまもこの調子で、ここの酒屋の奥で昼酒をのんでいるうちに暴れ出し、酒屋の雇人をなぐりつけたあげく、あやまりに出た老婆をうしろ手にしばりつけ、裏口から逃げ出そうとした亭主をつかまえて、威嚇しては酒をつがせ、酒をあおっては、自慢ばなしを独り言に談じていたものである。
それを門口にむらがって見物していた近所隣の者が、何かのはずみに、げらげら笑ったので、笑えばすぐひがむこの虎は、猛吼して立ち上がり、いきなり群衆を割って、往来へあらわれて来たものらしい。
もちろん、彼の足どりはもういいかげん怪しいので、女子供もよく逃げて、ひとりも爪にかからなかった。
けれど、そこに、ぽつねんと、さっきから逃げもせずに立っていた少年がある。虎之助だった。
禿久は、ぬうっと、顔を寄せて行った。