Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme
家康になだめられて、平六は感泣しながら、返上の願いは撤回して退ったが、家康の胸には、深い憂いが残っていた。
――心得ぬ大賀のことば。
と、不審を感じ出したのである。
主君たるものが、自身の重用している臣下にたいして、疑いを抱くほど、不幸の大なるものはなかろう。心痛の深いものはあるまい。――それはその責任の半ば以上を、自身の至らない罪とも思って、われとわが身も責めるからである。
外部の百難も、四隣の強敵も、それは恐るるに当らない。むしろ敵なき国は亡ぶ、という真理をうしろに、よろこんで逆境また逆境を克服してゆく快味もある。
けれど、君臣のあいだの疑心暗鬼は、ふところの敵である。ひいては藩全体の病患ともいえる。これを治すには名医のごとき老練と政治的な果断が要る。――家康はまだ若い。心身の疲労はここに原因があった。
「さむらい部屋に、又四郎はおるか。見てまいれ」
小姓のひとりがすぐ、はいと答えて立って行った。
やがて、彼のいる書院の外に、肩肉の固そうな、色の浅ぐろい、三十がらみのさむらいが手をつかえた。石川大隅の甥で、典型的な三河武士である。
「お召しでございますか」