Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「父が。……父があれにて、待っています」

「叔父御が」

「お探しして、連れて来いと、さっきからお身を案じながら」

「わしのことなど、なぜお案じなるのか、光秀一箇の生命などは、なにものでもない。たとえ敗るるまでも、稲葉山の逆兵どもを……」

十兵衛は、歯がみをして、動かないのであった。

彼は、自分の敗滅よりも、もっと大きなものに、怒っていた。

それは、人倫の敵に対する、人間の憤りだった。

十兵衛光秀は、文武の士をもって自分でも任じていた。勿論、武道の上でも、人に後れはとるまいとして来たが、士のうちでは、誰よりも劣らないほど書を読んだ。

彼の思想も信念も、聖賢の道によって養われて来た。今、自分の城を、火でつつんでいる敵は、単に、自分の敵というばかりではなかった。

親と名のある道三殿を攻め滅ぼした癩殿(義龍)の部下である。

人道の敵だ。

聖賢の道の敵である。

光秀の怒りはそのために、自分の一命も滅亡も考えなかった。正義に殉じて、大逆の狂兵ばらを、ひとりでもよけいに斬りまくって死のうとするばかりだった。

「犬死なされて、どうしますかッ。――雑兵などを相手に」

「犬死? 弥平治ッ。