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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「あるにはあったが……」

「どうしたのだ?」

がやがや噪ぐ部下の者を退けて、小六正勝は、静かに前へ出て、柳の蔭の暗い舟へ眼をそそいだ。

小六の影を仰ぐと、日吉も、これはこの者どもの頭目だなと覚ったらしく、やや居住いを改めて、じっとその顔を正視した。

「…………」

「…………」

小六の眼は、いつまでも、彼へそそいだきり、ものもいわなかった。

小六は、日吉の容貌やその身なりを不思議がったのではない。――自分の眼を射てくる、彼の眼に、愕いたのである。

で、小六は、心中、

(こいつ、身なりに似あわぬ不敵もの)

と思って、殊さらに、眸をこらして見つめたが、見つめれば見つめるほど、日吉の眸も、闇夜に見るむささびの眼のように光って、反れようともしないのであった。

遂に――小六は眼を紛らして、同時に、当りまえな音声で呼びかけた。

「子ども」――と。

「…………」

日吉は答えない。

まだ口を結んでいる。

そして、射るようなその眼も、小六の顔から離さなかった。

「……これ。子ども」

すると、日吉は、

「おらか」

膨れ返った顔していった。

小六がいう。――そうだ、おまえよりほかには、舟の中には誰もいないではないかと。