Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
「ま、そんなことは、万が一にも起りますまい。十兵衛様にも、何やらご決心もあり、喰い止める策をお立てになっておるらしいから」
「神かけて、わしらも祷る。――これが隣国となら、真っ先に、白髪首を、投げ出してもよいが」
――外はもう暗い。
そして、空は真っ暗だった。
吹き入る風に、大きな竈口の火は音をたてて、燃え熾っていた。
その前に、しゃがみ込んでいた日吉は、大釜の飯の焦げつく匂いに、
「あ、飯が焦げる。お小人衆、釜の飯が焦げつきますぜ」
と、飯炊仲間たちへ教えた。
教えてくれた礼も忘れて、
「退いた退いた」
と、仲間たちは、大竈の火を落し、やがて、梯子を懸けて、桶へ飯をうつし取ると、手の空いた者はみな寄って来て、襷鉢巻でにぎり飯を、無数にこしらえ始めた。
日吉も、その中に交じって、握り飯をにぎっていた。勿論、自分の口へも、二つや三つ頬張ったが、誰も、何ともいう者はない。
ただ夢中で、飯を握りながら人々のいっていることは、
「戦か」
「戦にならずにすむか」
であった。
そして、自分たちの握っている兵糧が、むだになることを、そのうちの大部分の者が、願っていた。
やがてもう戌の刻頃。