Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
腰にも、飯の握ったのを、蓮の葉につつみ、手拭で巻いて結いつけていた。
今朝の食物と、昼の食物とを、一文の銭のない彼がどうして得たか。彼には常に、
(食物は、どこにでも得られる物だ。人間には天禄があるから)
という信条と、
(鳥獣にすら、その天禄がある。けれど、人間たちは、世のために働けという天のご使命をうけている者だから、働かない者は、喰えないようにできている。――だから人間は、喰うためあくせくするのは恥辱で、働きさえすれば、当然な天禄が授かるのだ)
と考えていた。
だから彼は、飢えると、食う食慾より先に、働くことを先にする。
その場合、仕事がないということも、日吉の経験にはないことだった。働こうとする時は、町で普請場があれば、大工や土かつぎの手伝いでもさせてもらう。重い車を挽いてゆく者を見れば、後を押す。汚い門前を見れば箒を借りて掃かせてもらう。
頼まれないでも、彼は仕事を見つけ、仕事を作り、仕事を誠実にするので、一椀の食物や、一銭のわらじ銭ぐらいは、必ず人が酬いてくれた。
恥とは思わなかった。
なぜなら彼は、喰うために、牛馬のごとく身を卑しめたとは思わないのである。