Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「召し連れて参りました」

又右衛門が、信長の歩行の横へ額いて、こう告げると、信長は足を止めて、

「あ、連れて来たか」

と、彼のうしろに控えている藤吉郎の姿に眼を止め、

「猿、前へ出い」

と、いった。

「は……」

「今日からそちを、台所役人に取り立てて得させる。よいか、台所で働けよ」

「ありがとう存じます」

「台所方は、雄々しゅう、槍先の功名もならぬところじゃが、戦場の華々しい場所よりは、わけて大事な陰の守りぞ。いうまでもないが、精出して勤めい」

即座に、彼の地位と扶持は、今までより一段、昇格した。台所役人といえば、もう御小人組ではなかった。

けれど、台所方へまわされることは、その頃、侍の恥か、落ち目のように思われていた。

――あいつも遂々、お台所へ落ちて行った。

という風に見られて、そこは戦場や表方では、使い途にならない人間の捨場のように、蔑視されていた。

御小人、中間の端でも、

――台所の者。

といえば、軽く見られるし、若い者にとっては、出世の機会も、将来性もない所だけに――組頭の又右衛門は、退って来ると、藤吉郎へ同情して、慰め顔にいった。

「猿、つまらないお役目にまわされて、不足だろうが、その代りに、お扶持が増されたから、まあまあ出世としなければなるまい。