Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
「お寺の方がいいや」
と、いった。
明るいうちにと、光明寺の住僧は、日吉に支度させて、連れて出た。
筑阿弥も、さすがに少し、淋しい顔して、
「猿。お寺へ上がったら、心を入れ換えて、よう修行せねばいかぬぞ。すこしは、読み書きも習うて、はやく一人前の坊さんになって見せい」
と、いった。
日吉は、うんと一つ、頷いたきりだった。けれど、垣の外へ出て、いつまでも立って見送っていた母の姿へは、何度も何度も振り返った。
寺は、村外れから少し先の、藪山という丘ほどな高い土地の上にあった。日蓮宗の小伽藍で、住職は老年で寝たきりだし、若い住僧が二人して維持していたが、戦乱つづきで、村は疲弊しているし、檀家も離散するばかりなので、形こそ違うが、ここも貧乏の外ではなかった。
だが、少年日吉は、生活が変っただけでも、刺戟になったとみえ、生れ変ったようによく働いた。機転はきくし、はきはきしていた。住僧たちも可愛がって、
「こいつは仕込んでやろう」
と、毎夜、手習させたり、小学や孝経を教えたりした。記憶力も至っていい。
「おい。日吉。きのう途中でおまえのおっ母さんに会ったから、日吉もよくやっているといっておいたぞ」