Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
住僧の一人がいうと、日吉も欣しそうににこりと笑った。――母の悲しみはよく分らないが、母の歓びは、そのまま彼にも歓びだった。
けれど、そういう神妙な状態も一年とはつづかなかった。十一歳の秋頃になると、日吉には、この伽藍も狭くなって来た。
二人の住僧が近郷へ托鉢に出て行くと、日吉は、隠しておいた木剣や、手製の采配を腰に差し、
「やアい、敵の奴ども。どこからでも攻めて来い」
と、麓で待機している戦遊びの友達へ向って呼び立てた。
時刻でもないのに、突然、鐘楼の鐘がごんごん鳴った。
寺の丘から、石が飛んでくる。瓦が落ちてくる。
麓の者は、驚いて、
「何じゃ、何じゃ」
寺の丘を仰ぎ合った。
畑に、働いていた百姓の娘に飛んで来た瓦が中って大怪我をしたりした。
「……光明寺のチビ僧めが、またおらどもの腕白をあつめて戦遊びをやりおるな」
麓の家の人たちは三、四人して登って行ったが、本堂の前に立つと、開いた口がふさがらなかった。
本堂は灰だらけだ。外陣も内陣も乱脈な態である。
香炉は割れて落ちている。
旗にでも使ったのか、金襴の帳は裂いて棄ててあるし、太鼓の皮はやぶれている。