Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

下僕の捨次郎が今――ふいに主人の寝室を訪れたのもその梨琴が迷っていた問題を、やっと彼女も思い決めたというので、取次に来たのであった。

「ただ今、梨琴さんがいうには、きのうも一昨日も、あんなに云い張ったが、将来を考えると、やはり自分の手で育てるよりも日本へ連れて帰っていただいた方が幸福になるに違いない。――だから最初の相談のように、子どもは、貴方にお頼みしたいと申すのですが」

「あ。……考え直したか」

五郎大夫は、彼女の気持を思いやって、ほろりとした。

「ちょっと、呼んでくれい。――梨琴を」

「はい」

下僕の捨次郎は、部屋を出て行った。

大きい家ではない。

勿論、家も調度も、主従の服装も、すべてこの土地の風俗のままである。

「旦那さま。お連れしました」

捨次郎は、やがて梨琴の腕を抱いて、支えながらそこへはいって来た。

梨琴はすぐ床へ泣きくずれ、

「祥瑞さま! ……」

と、咽んで呼んだ。

祥瑞というのは、五郎大夫の中国名であった。陶器を焼く秘法を会得するためには、あらゆる習慣をすてて、この国の生活に、同化して来たのであった。

「オオ……。今、捨次郎から聞いた。子どものことは、心配しないがいい」