Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Lesen Sie 新美南吉童話集 (あかいろうそく) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.131 Zeichen · 96 Bildschirme
五
「木之さん、今年も出かけるかな」。木之助が家の前の坂道をのぼって、広い県道に出たとき、村人の一人がそういって擦れちがった。
「ああ、ちょっと行って来ますだ」と木之助が答えると、
「由さあも、熊さあも、金さあも、鹿あんも今年はもう行かねえそうだ。力やんと加平が、行こか行くまいかと大分迷っとったがとにかくも一ぺん行って見ようといっとったよ」
そういって村人は遠ざかっていった。
五
村を出はずれて峠道にさしかかるといつものように背後からがらがらと音がして町へ通ってゆく馬車が駈て来た。木之助は道のはたへ寄って馬車をやりすごそうと思った。馬車が前を通るとき馭者台の上を見ると、木之助は、おやと意外に感じた。そこに乗っているのは長年見馴れたあの金聾の爺さんではなく、頭を時分けにした若い男であった。金聾の爺さんの息子に違いない。顔つきがそっくり爺さんに似ていた。それにしてもあの爺さんはどうしたんだろう、あまり年とったので隠居したのだろうか。あるいは死んだのかも知れない。いずれにしても木之助は時の移りをしみじみ感じなければならなかった。
しかしその年はまだ全然実入りがなかったのではなかった。