Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Lesen Sie 新美南吉童話集 (あかいろうそく) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.131 Zeichen · 96 Bildschirme
七
風邪をひかないようにほっぽこ頭巾をすっぽり被り、足にはゴムの長靴を穿いて。何という変てこな恰好の芸人だろう。だが木之助には恰好などはどうでもよかった。久しぶりに胡弓を弾きに出られることが非常なよろこびだったのだ。
正月といっても村から町へゆく者はあまりなかった。道に積った雪の上の足跡でそれがわかる。二人の人間の足跡、自転車の輪のあとが二本、それに自動車の太いタイヤの跡が道の両側についていた。五、六年前から、馬車の代りに走るようになった乗合自動車が朝早く通ったのである。
陽が生き物のように照っていた。道のわきの田んぼに烏が二羽おりているのが、白い雪の上にくっきり浮かんで見えた。静かだなあと思って木之助はとっとと歩いた。
七
町にはいった。
木之助は一軒ずつ軒づたいに門附けをするようなことはやめた。自分の記憶をさぐって見て、いつも彼の胡弓をきいてくれた家だけを拾って行った。それも沢山はなく、味噌屋をいれて僅か五、六軒だったにすぎない。
だがそれらの家々を廻りはじめて四軒目に木之助は深く心の内に失望しなければならなかった。どの家も、申しあわせたように木之助の門附けを辞った。