Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Lesen Sie 新美南吉童話集 (あかいろうそく) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.131 Zeichen · 96 Bildschirme
九
木之助は看板から自分の持っている胡弓に眼をうつした。聴く人のなくなった胡弓など持っていて何になろう。
誰かに逆うように、深くも考えずに木之助はそこの硝子戸をあけた。
「これいくらで取ってもらえるだね」
青くむくんだ顔の女主人が、まず、
「こりゃ一体、何だい。三味線じゃない。胡弓か、えらい古い物だな」と男のような口のきき方をして、胡弓をうけとった。そして、あちこち傷んでいないか見てから、
「こんなものは、買えない」とつき返した。
「買えんということはねえだろうがな」と木之助は気が立っていたので口をとがらせていった。「古物屋が古物を買えんという法はねえだら」
「古物屋だとて、今どき使わんようなものはどうにもならんよ。うちは骨董屋じゃねえから」
二人はしばらく押問答した。女主人は買わぬつもりでもないらしく、
「まあ、そうだな。三十銭でよかったら置いてゆきな」といった。
九
木之助はあまり安い値をいわれたので腹が立ったが、腹立ちまぎれに、そいじゃ売ろうといってしまった。木之助は外に出ると何だかむしょうに腹が立ったが、その下にうつろな寂しい穴がぽかんとあいていた。
少しゆくと鉄柵でかこまれた大きい小学校があって、その前に学用品を売る店が道の方を向いていた。