Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme

Aozora Bunko

ところがどういうものだか、気ばかりあせって、馬も自分も思うように進みません。五六間行くと、またうしろから、

「馬吉、馬吉。」

と呼ぶ声が聞こえました。しかもせんよりはずっと声が近くなりました。

馬吉は思わず耳をおさえて、目をつぶって、だまって二足三足行きかけますと、こんどは耳のはたで、

「馬吉、馬吉。」

と呼ばれました。その声があんまり大きかったので、馬吉ははっとして、思わず、

「はい。」

といいながら、ひょいとうしろを振り向くと驚きました、もう一間とへだたっていないうしろに、ねずみ色のぼろぼろの着物を着て、やせっこけて、いやな顔をしたおばあさんが、すっとそこに立っているのです。そして馬吉の顔を見ると、にたにたと笑って、やせたいやらしい手で、「おいで、おいで。」をしました。

馬吉は、

「あッ。」

といったなり、そこに立ちすくんでしまいました。するとおばあさんはずんずんそばへ寄って来て、

「馬吉、馬吉。大根をおくれ。」

といいました。馬吉がだまって大根を一本抜いて渡しますと、おばあさんは耳まで裂けているかと思うような大きな、真っ赤な口をあいて、大根をもりもり食べはじめました。