Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
ちょうど田植え休みの時分で、村では方々で、にぎやかな餅つきの音がしていました。山のお猿と川の蟹が、途中で出会って相談をしました。
「どうだ、あの餅を一臼どろぼうして、二人で分けて食べようじゃないか。」
さっそく相談がまとまって、猿と蟹は餅を盗み出すはかりごとを考えました。
一軒のうちへ行ってみると、うち中の人が残らずお庭へ出て、ぺんたらこ、ぺんたらこ、夢中になって餅をついていました。お座敷には赤んぼが一人寝かされたまま、だれもそばには居ませんでした。
蟹はその時、のそのそと縁がわからはい上がって行って、赤んぼの手をちょきんと一つはさみました。すると赤んぼはびっくりして、痛がって、「わっ。」と火のつくように泣き出しました。お庭に出ていた人たちは、どうしたのかと思って、びっくりして、臼も杵も残らずほうり出して、お座敷へかけつけますと、もうその時分には、蟹はのそのそ逃げ出して行ってしまいました。みんなは赤んぼがどうして泣いたのか、さっぱり分からないので、ぶつぶついいながら、またお庭へ戻って行きますと、つきかけの餅が一臼そっくり、臼のままなくなっていました。