Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
「親分、わたしが綰げてあげましょう」
「手をよごして気の毒だな」
若い者に鼻緒をすげさせながら不図みると、ひとりの男が傘を半分すぼめて、顔をかくすように門口に立っていた。半七は傍にいる若い者に小声で訊いた。
「ありゃあ何処の人だ。馴染かえ」
「源助町の下総屋の番頭さんです」
半七の眼は光った。主人預けになっている筈の彼が夜になって勝手に出あるく。それだけでも詮議ものであると思ったが、半七はわざと見逃がして置いた。
「そうして、これから何処へ行くんだ。宿かえ」と、かれは再び小声で訊いた。
「なんだか大木戸まで送るんだそうです」
そう云っているうちに、一方の若い者の支度は出来て、門に忍んでいる番頭は駕籠に乗って出た。雨あがりの薄い月がその駕籠の上をぼんやりと照らしていた。
「おい、おれにも一挺頼む。あのあとをそっと尾けてくれ」
相手が相手であるから若い者はすぐに支度して、半七をのせた駕籠は小半町ばかりの距離を取りながら、人魂のように迷ってゆく駕籠の灯を追って行った。前の駕籠が大木戸でおろされると、半七も下りた。駕籠屋を帰して、かれはぬかるみを足早に歩き出した。鼻緒をすげてしまうのを待っている間がなかったので、かれは大岩の貸し下駄を穿いていた。