Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
おげんも余りうるさく寄り付いて来なかったが、それがいよいよ出来あがると、彼女は先夜の約束通りにあなたのお弟子にしてくれと強請んで来た。澹山はよんどころなしに二つ三つの手本をかいてやると、彼女は熱心に稽古をつづけて、あまり器用らしくもない彼女が案外めきめきと上達するのに、師匠も少しく驚かされた。しかしその熱心の裏には何かの意味が忍んでいるらしくも想像されるので、澹山はなんだかいじらしいような暗い心持にもなった。
江戸の旅絵師は奥州の春をむかえて、今年ももう二月になったが、ここらの雪はまだちっとも解けないで、うす暗い寒い日が毎日つづいた。今夜も細かい雪がさらさらと灰のように降っていた。
「お寒うござります」
おげんは菓子鉢を持って、いつものように離れ座敷へ顔を出した。うるさい、いじらしいを通り越して、この頃の澹山は彼女の顔をみるのが何だか恐ろしいようにも思われた。小賢しい江戸の女を見馴れた澹山の眼には、何だかぼんやりしたような薄鈍い女にみえながら、邪宗門の血を引いているだけに、強情らしい執念深そうな、この田舎娘に飽くまでも魅こまれたら、結局はどうしても彼女の虜になるのではないかと、自分ながらも一種の不安を感じて来たので、努めて彼女に接近するのを避けているのであるが、彼女にもおそらく自分の秘密を知られているので