Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
あろうという不安と、今では仮りにも師弟となっている関係とで、この頃いよいよ摺り寄ってくる彼女をどうしても払いのけることが出来なかった。
「ここらではいつ頃まで雪が降ります」と、澹山は手あぶり火鉢を彼女のまえに押しやりながら訊いた。
「来月のはじめには歇みましょう」と、おげんは茶をいれながら答えた。「もう十日か半月の御辛抱でござります。ここらで雪のやむ頃は、お江戸は花盛りでござりましょう」
澹山は江戸の春が恋しくなった。去年の五月に江戸を発って、やがて小一年になる。雪のやむのを待って早々に出発しても、上野や向島の今年の花はもう見られまいと思った。
その心のうちを読むように、おげんはまた云った。
「雪がやむと、すぐにお発ちになるのでござりますか」
うっかりした返事は出来ないので、澹山はあいまいに答えた。
「いや、まだ確かに決めていません。もう少しこちらに御厄介になりますか、それとも松島、塩釜の方へでも見物に行きますか」
「ほんとうでござりますか」と、おげんはまだ疑うように相手の顔色をうかがっていた。「松島塩釜はわたくしも一度見物に参ったことがござります。もし先生が御見物ならば、わたくしに御案内させてくださりませ」