Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
「おい、惣八。おめえはなぜ隠す。短冊や色紙のほかに、あの宗匠のところへ何か持ち込んだものがあるだろう。正直に云わねえじゃあいけねえ」
「へえ」
「へえじゃあねえ。はっきり云いねえ。下手に唾を呑み込んでいると、いつまでも帰さねえよ」
ずいぶん悪摺れのしているらしい惣八も、半七に睨まれてさすがにうろたえた。なにぶんにも相手が相手であるので、なまじい隠し立てをしてはよくないと早くも観念したらしく、かれは正直に白状した。
「実はわたくしもそれに就いて少々迷惑していることがありますので……。それで今朝も宗匠のところへ出かけますと、あの一件で……。いや、どうも驚いているのでございます」
それは例の金魚の一条であった。芭蕉と其角の短冊は問題にされなかったが、金魚の方は心あたりがあるというので、四、五日経ってから惣八は再びその模様を探りに行くと、其月はその売れ口があると云ったので、惣八はよろこんで帰って、早速その売り主の元吉というのを連れて行くことになった。一番いの朱錦を小さい塗桶のようなものに入れて、元吉が大切にかかえて行った。見たところ普通の金魚と変らないのであるから、まず眼のまえで試してみなければならないというので、其月の家ではありあわせの銅盥に湯を入れて持ち出した。