Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
「おまえさん、この頃どうして来てくれないの。あれほど約束したのを忘れたのかえ」
こっちがやはり黙っているので、女はすこしおかしく思ったらしい、だしぬけに片手をのばして半七の頬かむりを引きめくった。うす暗いなかでもその人違いをすぐに発見したらしく、かれはあれっと叫びながら手桶をほうり出して内へ逃げ込んだ。
手拭も一緒にほうり出されたので、半七はそれを拾って泥をはたいていると、その頭の上を大きい雷ががらがらと鳴って通った。
三
表へ出ると、利八と善八が待っていた。今鳴った雷の音につれて、雹のような大粒の雨がばらばらと落ちて来たので、利八はしばらく雨やどりをして行けと勧めたが、半七はそれを断わって、そのかわりに番傘を一本借りて出た。
「親分、相合傘じゃあ凌げそうもありませんぜ」と、善八は云った。
「まあ、仕方がねえ。尻でも端折れ」
雷はだんだん烈しくなって、傘をたたき破るかと思うような大雨が、どうどうと降りそそいで来た。ふたりの鼻のさきに青い稲妻が走った。
「親分、いけねえ、意気地がねえようだが、もう歩かれねえ」
善八がひどく雷を嫌うことを半七もかねて知っているのと、時刻も丁度暮れ六ツ頃であるのとで、かれは雨宿りながらにそこらの小料理屋へはいって、ともかくも夕飯を食うことにしたが、雷はそれから小一も鳴りつづい