Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
彼は浅草で相当な小間物屋の伜に生まれたが、放蕩のために身代をつぶして、一旦は江戸を立退くこととなった。やはり小間物の荷をかついで、旅あきないに諸国を流れ渡っているうちに、彼は京大阪から中国を経て九州路まで踏み込んだ。そうして、ある城下町にしばらく足を止めているあいだに、かれはその城下から一里ばかり距れた小さい村の女と親しくなった。女はかのお熊であった。お熊はお綱という老母と二人暮しであったが、この村の習いとしてほかの土地のものとは決して婚姻を許さない掟になっているので、お熊は母を捨てて逃げた。徳三郎もはじめは旅先のいたずらにすぎない色事で、その女を連れ出して逃げるほどの執心もなかったのであるが、かれに魅こまれたが最後、もうどうしても逃げることの出来ない因果にまつわられていた。お熊はこの土地でいう蛇神の血統であった。
ここらには蛇神という怖ろしい血統があった。その血をうけて生まれた者は一種微妙の魔力をもっていて、かれらの眼に強く睨まれると其の相手はたちまち大熱に犯される。単にそればかりでなく、熱に悶えて苦しんで、さながら蛇のように蜿うちまわる。蛇神の名はそれから起ったのである。