Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
お定はちょうど去年の今頃からここへ来た女で、お駒さんとは姉妹のように仲好くしていたということです。それですからお定は今朝から飯も食わずにぼんやりしていますよ」
「じゃあ、そのお定をちょいと呼んでくれ」
眼を泣き腫らしたお定が店口へおずおずと出て来た。お定は二十五六で、色のあさ黒い、細おもての力んだ顔で、髪の毛のすこし薄いのを瑕にして、どこへ出しても先ず十人なみ以上には踏めそうな中年増であった。半七からお駒の悔みを云われて、かれは涙をほろほろとこぼしながら挨拶していた。
「お前はお駒と大変仲好しだったというが、今度の一件について何か思い当ることはねえかね」
「親分さん。それがなんにもないんです。わたくしはまるで夢のようで……」と、お定はしゃくりあげて泣き出した。
「そりゃあ困ったな。お駒の枕もとに何か張子の虎のようなものが置いてあったというが、そりゃあほんとうかえ」
お定は黙って泣いていると、与七はそばから代って答えた。
「ありました。小さい玩具のようなもので、それは御内証にあずかってあります。お目にかけましょうか」
「むむ、見せて貰おう」
半七はあがり口に腰をおろすと、与七は一旦奥へ行ったが又すぐに出て来て、ともかくもこちらへ通ってくれと招じ入れた。