Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
蜘蛛の糸はごく軽いものだから、ちょっと風がふきさえすれば、あんなふうに横へ一文字になびくのだよ。
糸のもとのところを見てごらん。きれいな女郎蜘蛛が、木の枝にとまって、うしろ足を糸の根元にかけて、じっと考えているだろう。ああして糸の先が、何かにひっかかるのを待っているんだよ。ひっかかれば、そのひびきが糸をつたって蜘蛛の足に感じるんだ。
あ、うまくこちらの枝にとどいたよ。糸にはねばりけがあるので、くっついたら、もうはなれやしない。ほら、ごらん、女郎蜘蛛が動き出した。足で糸をひっぱって、ほんとうにこちらの枝にくっついているかどうかを、ためしているんだよ。
見ててごらん。今にあの蜘蛛は、糸の橋をわたって、こちら側へやって来るよ。そして、二度も三度も行ったり来たりするんだ。それはね、あの糸をふとく丈夫にするためなんだよ。行き来しながら、たえず腹から糸を出して、はじめの糸にくっつけて、ふとくして行くんだ。あの一本の糸の橋が、網をつくる土台になるんだからね。できるだけ丈夫にしておかなければならないのだよ」
二人はそこにしゃがんで、じっと蜘蛛のしぐさを眺めていました。