Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Lesen Sie 植物記 (しょくぶつき) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 165.848 Zeichen · 327 Bildschirme
また花は美麗な色をしているのでそれが目標にもなるでしょう。虫が来ればそれが止まらねばならないが、それにはその最下に在る一花弁すなわち脣弁がその足場と成ってくれる。そして雄蕊から出ている二本の脚が距の中へ入って居りこの距の底には蜜がある。来訪した虫が右の花弁の一なる脣弁に抱き付いて見ると、これも前に書いた様にそこに目に立つ紫の脈線が奥の距の方に向って集り走っていて、この奥には蜜があるぞよとその蜜の所在を指示してくれているので、虫はその指示に従いその嘴を距の中へ入れそこに在る蜜を吸うのである。
この様に虫がその頭を花の中へ差し込んでその嘴を距に入れた時、その距の中へ突き入っている雄蕊の脚に虫の嘴が触れて自然にそれを動揺さすので、丁度それが槓杆の役を務めてそれに連っている雄蕊の葯が動く事になる。そうするとその葯嚢からサラサラした花粉が丁度そこへ来ている虫の頭から背へかけて降りかかって、その毛のある頭あるいは背に附着する。虫自身にはそんな事のあった事は全く知らなく、よい加減蜜を吸ったらそこから嘴を抽き出し、復た他の花に這入って行く。そこで新たに訪ずれた花へ頭を差し込んだ刹那、その頭あるいは背に着けて来た花粉を今度は丁度その虫の頭の上へ差し出ている粘り気ある柱頭へ自然に触れてそれへ附着さすのである。