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Japanische Klassiker mit Furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

「お、これは旦那様でございましたか。先程は大枚なお金を頂戴いたしまして」と門番夫婦は吃驚した。「何とも有難いことでござりまして」

「今夜は少し心祝いがあってな……みんなに少しずつだがやったのだ。無人だからスグ門を閉めてもらおうか。今夜だけは誰が来ても……仮に召使たちが帰って来ても、明日の朝までは絶対に開けんようにな。私がそう言ったと言えばいいから決して門を開けてはならぬぞ!」

「畏まりました……でも旦那様何かお邸でございますのでしょうか?」

「なあに何にもあるわけではないさ……偶にはみんなにも息抜きをさせたいからだハハハ……」

と私は笑いに紛らわせたが、耳の遠い善良な門番は、

「それはまあお情深いことで……みんなもいい保養をいたしてまいりますでしょう」と十字を切った。そして早速門を閉めにかかっているのであろう。車寄せの方へ木立の砂利道を引っ返して来る私の背後から、ギギイと重い軋みを立てて鉄扉のレールを滑っている音が、夜陰の空に響いてくるのであった。

私は玄関へ戻るとスグに厳重な錠を扉に降ろしてしまった。もうこれでこの広い建物の中にいるものとてはいよいよ私と妻との二人っきりになったのであった。