Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
安心さっし」
と慰め顔に言った。無智な土人女よ! いくら柵を結っても、柵ぐらいはすぐに乗り越える。と私は苦笑したがその慰め顔のイスカーキを見ていると、なんとも知れず微笑みが涙と一緒に頬に上ってきて、思わずイスカーキの黒い大きな顔に頬摺りしてしまった。
今の私には、黒い土人のイスカーキだけが、天にも地にもたった一人の心からの友達のような気がする。相かわらず雨が一瞬の休みもなく降って、家の前の大地はまるで小川か沼のように漫々と水を湛えてしまった。
この沼を眺めながら、明日も明後日も、そしてまだ乾季が来るまでこれから四月も五月も父様に叱られ叱られ日を暮してゆくのかと思ったら、つくづく心が暗くなってきた。この雨にみんなの心が腐る。父様の心も腐る。みんなジトジトジトジトと、底なしの沼に腐り込んでゆくのだ。
一月十日。夕方、マフチャズの檻の前で編物をしていたら凄まじい血相をした録音技師のウェンデルが部屋へはいって来た。マフチャズはめったに見慣れぬ顔がはいって来たので、喉の奥で低い唸り声を立てながら、毛を怒らせていたが、ウェンデルはほとんど檻も眼に止らぬ様子でノッソリと立ちはだかっていた。