Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
と手を合わせて拝みたいような感謝を覚えてきたのであった。
薄暗い銀行の金網の外は、証券取引所の前場の引け時とて、金を出す人預け入れる人々でごった返していた。そして一歩明るい街路へ出ると、そこにも一攫千金を夢見る人々が渦を巻いて喧騒し、その人波を掻き分けて、眼の色変えた仲買店の小僧や番頭たちが声を嗄らして駈けずり廻っていたが、その雑踏の間を縫って疾走する車の中で、私一人はいかにものんびりと口笛でも吹きたいほどの軽い気持で羽根蒲団に凭れながら、これから私の前に開けてくるであろう結婚当夜のような楽しい世界を想像して顔を綻ばせていたことは、もちろんこの記録の読者にも御推察の付くことであろうと思われる。そして同時に私がいかに全身を擽るような楽しい喜悦に心を躍らせながら、豪華絢爛なホテル・アルベアール・パラスの特別室で、今日は珍しくも黒づくめの羅衣に鼈甲の高櫛高々と、黒い絹レースのマンテリアを後に垂らした純西班牙風の装いをした妻と卓を挟んで薔薇と麝香撫子の花陰に語り、飲み、喰べ、そして微笑し、初めて頭取らしい鷹揚な威厳を取り戻した一幅の場景をも、併せて御連想になり得ると考える。