Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

と私はほとほと呆れ返っていたのであった。

妻はそのうっとりと潤み、時にぎらぎらと熱情的にまた憎悪に激しく輝く抑揚に富んだ美しい眸を円に見開いて、しきりにもの珍しそうにあたりに迫ってくる汚穢しい家々の景色に見惚れ切っていた。そこには、もう市中の二、三流町でも見られぬような汚らしい貧しげな服装をしたお内儀さん連中が、縄で括った魚をブラ下げながら、ギャンギャン高声に子供を叱り飛ばしたり、そのまた叱られた子供が跣足で逃げ出しながら、洟を垂らして私たちの自動車の廻りに集って来たり、プラツア・デ・カタルニア街というのはそういう陋巷であったが、目指す犬商ベナビデスの店は割合容易に探し当った。

この貧しい町の広場近くに、煉瓦のくずれ落ちた二階建ての家があって、入り口近くに二、三匹のプードルやハリイア種の犬の檻を出したのがそれであった。屋内からも種々雑多な犬の啼き声が喧しく、プウンと動物特有の臭気が鼻を衝いてきた。しかもこんな汚穢しい町の小さな犬屋のオヤジにもかかわらず、私たちの運転手がいくら案内を請うても返事ばかりで、おそらく十五、六分ばかりも待たされたであろうか。