Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme

Aozora Bunko

「……と誰だって考えますでしょう。ところがそうではありませんのよ。あとからいらしたモリナーレの夫人だってアルベルトオの夫人だってちゃんと買っていらしたんですものね。もっともお金も随分お費いになったようですけれど……」

「そんなに方々へ売ってしまうんなら、ルロイ・ソレルの夫人なんぞ口留料を出しただけ莫迦を見たようなもんじゃないか! ハハハ! ともかくあの犬屋のオヤジときたら気難し屋らしかったからね。何か気に入らないことがあって売らなかったんだろう」

別段可笑しくもなかったが、私も一つ笑って見せて、妻の機嫌に調子を合わせてやった。

「でも、かえってその方が有難いじゃないか。この犬がそんなに手に入れにくい犬だとすれば、あのオヤジのお陰でお前の持ち物の値打ちが上るというわけじゃないかね?」

「そうですのよ。ですから私ロデスの夫人やグラナドスの夫人がお零しなさるから、相槌は打っていますけれど、お肚の中ではね……オホホホホホ」と妻は耳輪を重たげに檜扇で口許を掩って、結婚以来初めての華やかな笑い声を挙げたが、董香水の匂いがどこからともなく幽かに鼻を打ってきた。そしてそのオヤジのお陰で値打ちの上ったはずの妻の持ち物は、相変らず大きな腰を振り振り、それでも仔犬らしく長椅子に凭れている妻の靴先にじゃれついているのであったが、すでに