Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
真っ赤になってうなずいた私を見ると、円にみはった眸の中から大粒な涙が、転がり出たと思った次の瞬間、身を翻してスパセニアはたちまち脱兎のごとく、階下へ駈け降りていってしまいました。そしていったかと思うと、気が違ったようにピアノの鍵盤が、鳴り出して……。
「いらっしゃいよう、いらっしゃいよう……早く、降りていらっしゃいよう! マズルカ弾いてますのよう! 踊りましょう」
と、狂ったような彼女の声が、響いてきたのです。その声を聞きながら、顔を赧らめながら私は、階段の上り口に茫然として突っ立っていました。もう一度くり返しますけれど、スパセニアに向って私のいったことは、みんなほんとうのことなのです。決して心にもないことを、いったわけではありません。
が、それでも何だか、スパセニアを釣ったような気がして、悪いことでもいったような気がして、しばらく私はぼんやりと突っ立っていました。もう手紙を続ける気もしなければ……さりとて彼女を追って行くだけの勇気はなく……と、申上げましたら、先生、貴方は私を、なんて情熱のない、老人臭い引っ込み思案な男だろう! と、お思いになるかも知れません。