Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
しかも父は涙を溢らせながら、じだんだ踏んで口惜しそうに、呶鳴りつけているのです。ふだん姉を可愛がって、荒い言葉一つかけたこともない父が、人前もなくこんなにも罵りつけているのは、姉の死を悼む父の痛恨の一種だったかも知れません。
しかも、突っ立って呶鳴っている父を制止しようとするでもなく、姉の屍骸に取り縋って泣いている母と、小作人の妻と……なぜ姉が死んだのか? そしてなぜ父があのように怒り切っているのか? それらの原因は一切わからぬながらに、青年には今でもまだその時の悲惨な光景を、忘れることができなかったのです。寒い朝でした。西九州ではめったになく酷い霜の降った、寒い朝だったことまで、ありありと頭の中に刻み込まれていました。
「そして今でもまだあなたは、なぜ姉さんがそんな自殺をなさったのか、そのわけがわからないのですか?」
「わからないんです。迂闊なようですが、今でもサッパリ見当がつかないんです。淋しそうな顔はしていても、父でも母でも姉のことは決して口にしませんし……元から無口な父でしたが、それ以来、一層口数が尠い人になってしまって……余計なことを言い出して、親の暗い顔を見るのは厭ですから、僕も何にも言いませんし……おまけに小作人の妻まで、間もなく病気で死んでしまったもんですから……」