Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
「あ、旦那様、足許がお危のうごぜえます……」
「貴方が、あのお嬢さんたちのお墓を彫ったんだそうだね?」
「へえ、左様でごぜえます。手前が……」
「お嬢さんたちは、生前ここが大好きだったから、それでここへ葬ったとか……」
「旦那様は、大層よう御存知で……」
「ここからあすこまで、どのくらいあるのかね?」
「近くに見えとるでやすが、さ、まだ七、八町の余もごぜえましょうか?」
熊笹がいよいよ多くなる。ますます黄櫨の木が殖えてくる。もはや人はほとんど通らぬとみえて、六蔵や、伊手市氏、牧田氏、藤五郎氏たちが先に立って踏み分けてくれるからついて行けるが、私ひとりだったら、とても行き着くことは思いも寄らなかったろう。
無言でしばらくガサゴソと、熊笹を分ける。蛍草や竜胆風の花が、熊笹のあちらこちらに見える。野生の石楠花が処々に咲いている。
この景色を最も好んでいたとはいえ、死後もなおそれを忘れずに、二つの屍体を運び、重い二つの墓石を運んだ馬丁の福次郎と六蔵との純情にも感ずるが、この二人をして、それほどまでにも追慕させている、亡くなった二人の姉妹の心の温かさも偲ばれる。
十六町の道を、全部踏み分け終って、今ようやく墓の前に立つ。