Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
故郷をはなれて二週間近くにもなると、そろそろ綿々たる手紙が書きたくなるらしい。ことに今日の手紙には異性あてのが多かった。それも差出人とは姓のちがった宛名が多かったようだ。」
すると、にぎやかな笑い声にまじって、いろんな野次がとんだ。
「時局がら、憂うべき傾向だ。査問会をひらいたら、どうだい。」
「しかし、いったい、郵便物当番に、異性あての手紙が何通だなんていうことまで調査する権限があるのかね。」
「まさか開封して見たんではないだろうな。」
「とにかく、発信人の名前ぐらいは公表してもよさそうだ。」
「これからは、各人別に異性あての手紙の累計をとるべきだよ。」
そういった調子である。
朝倉夫人も、こんな時間には、かならず顔を出し、茶をついでまわったりする習慣になっていたが、一通り野次がとんでしまって、笑い声がおさまったころ、夫人は、みんなの顔を見まわしながら、真顔になってたずねた。
「それはそうと、みなさんの中に、もう奥さんがおありの方は、どなた?」
みんなにやにや笑っているだけで、返事がない。
「あたしには、おおよそわかりますわ。あててみましょうか。飯島さんはおありでしょう?」