Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「お先にはなはだ失礼ですが、ちょっと急な用をひかえていますので……」

と、いかにも恐縮したようにいうと、荒田老は、黒眼鏡の顔をとぼけたようにそのほうに向けて答えた。

「わしですか。わしにならどうぞおかまいなく。……今日はわしは午後までゆっくり見学さしてもらうことにしておりますので。」

それから朝倉先生のすわっているほうに黒眼鏡を向け、

「塾長さん、ご迷惑ではないでしょうかな。」

「いいえ、いっこうかまいません。どうぞごゆっくり。」

朝倉先生は、みんなの緊張した視線の交錯の中でこたえた。わざとらしくない、おちついた答えだった。

「実はね、塾長さん――」

と、荒田老はいくらか威圧するような声で、

「式場であんたのいわれることは、毎度きいていて、大よそは、わかったつもりです。しかし、ちょっと腑におちないところがありましてな。――これは、理事長のいわれることについても同じじゃが。――で、もう少し立ち入っておききしたいと思っているんです。」

「いや、それはどうも。……なにぶん式場ではじっくり話すというわけにはまいりませんので。で、どういう点にご不審がおありでしょうか。