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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

運平老は今度は絵と子供たちとを等分に見比べながら、

「天地をつなぐ断崖に根をおろして、天地を支配している蘭の心には何の迷いもないのじゃ。たった一株で淋しいとも思わんし、雨風にたたかれても苦にならん。花が咲く時には花を咲かせ、枯れる時が来たら括れるまでじゃ。わしも今日はひさびさで気持のよい絵を描いた。もうこれでおしまいじゃ。」

そしていかにも愉快そうに、ひとりでうなずきながら、絵筆を筆洗にひたしていたが、

「二人とも、ようおとなしく坐っていたのう。いったい、いつ来たんじゃ。」

二人は思わず顔見合わせて笑い出した。恭一は、しかし、すぐ真顔になって、

「お祖父さんが今の絵を描きかけた時です。」

「ああ、そうだったか。で、二人で来たかの。」

「叔父さんといっしょです。」

「おう、そうそう。徹太郎はゆうべは宿直じゃったな。なるほど、きょうお前たちをつれて来る約束じゃったわい。はっはっはっ。」

運平老は、絵の世界から、やっとほんとうに自分にかえったらしかった。

そこへ、大巻のお祖母さんが二人を呼びに来たので、運平老もいっしょに茶の間に出て行き、みんなで餅菓子を頬張った。