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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

すると――)彼は、そう考えて、思わず大きな息をした。彼の眼には、ひさびさで、地下の母の顔がはっきり浮かんで来た。やはり、観音様に似た顔だった。笑っているようにも思えた。心配している顔のようにも感じられた。

やがて朝倉先生の顔が母の顔にならんで現れた。するとその二つの顔が、何か自分のことについて話しあっているようにも思えて来た。

次郎は、人間同士のつながりの広さと深さというものを、幼い頭ながらも、考えてみないわけにはいかなかった。そして、悲しいような、恐ろしいような、それでいて、何か気強いような、そしてまた楽しみなような、一種不思議な感じに包まれながら、いつの間にか、自分の家の前まで来ていた。

門口をはいると、茶の間からきこえるかん高い話し声で、もうお浜の来ていることがわかった。

お浜は次郎の姿を見ると、跳び上るように立って来て、彼を上り框にむかえた。お鶴も、はにかみながら、お浜のうしろに坐ってお辞俵をした。

次郎は、しかし、さきほどからの感動から、まだ十分にはさめていなかった。彼は、何か不思議なものでも見るように、お浜を見、お鶴を見、そしてお祖母さんや、俊亮や、お芳や、俊三を見まわして、突っ立っていた。