Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
そして、次第に白ちゃけて行く燠にじっと眼をこらした。
「ちっとでも次郎のためになることなら、仏も喜びましょうからな。」
そう言ったお祖父さんの言葉が思い出された。それはいいことのようにも思えたし、また悪いことのようにも思えた。自分のために、悪いことを考えるようなお祖父さんではない。――そうは信じていたが、ふだんのお祖父さんの言葉のように、彼の心にぴったりしないものがあった。
「かげになって、次郎をかばってくれる女が一人は居りませんとな。」
そうもお祖父さんは言った。が、次郎にはやはりそれもぴんと響かなかった。
(もし、さっき見た女の人がそうだとすると、あんな人に、乳母やのような親切な心があるわけがない。だいいち、あの女は自分がこれまで見たこともない人ではないか。)
彼は、それからそれへと、いろんなことを考えつづけた。しかし、考えれば考えるほど、いよいよわけがわからなくなって来た。
そのうちに、あたりがそろそろ暗くなり出し、おりおり炉の中でくずれる燠が、ぱっと明るく彼の顔をてらした。そして彼の眼に浮かんで来るのは、母や乳母やの顔ではなくて、いつも、さっき見た女の人の横顔だった。