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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「もっとも、これはお芳ひとりではどうにもならんことじゃで、次郎君の心がけがよいからでもありますのじゃ。」

「いや、あいつ、まったく一筋縄では手におえん子供でして――」

「そう言えば、なるほどそういうところもありますな。じゃが、お芳との仲は、案外うまくいっとりますぞ。そこは、わしがちゃんと睨んでおきましたのじゃ。お芳ののろまも、こうなると、まんざら捨てたものではありませんな。はっはっはっ。」

俊亮は挨拶に困っている。

「ところで、わしがひとつ気になりましたのは、次郎君の口から、まだどうしても、母さんという言葉が出ないことでしたのじゃ。あんたは、それはまだ早過ぎる、とおっしゃるかも知れん。じゃが、こんなことは、はじめが大事でしてな。はじめに言いそびれると、あとでは、いよいよむずかしくなりますのじゃ。」

「ごもっともです。」

「それも、いっそ、そんなことが気にならなければ、何でもないようなものじゃが、なかなかそうは行きませんのでな。母さんと呼べないばかりに、さきざきちょっとした用事を言うにも、奥歯に物がはさまったような言葉づかいをしなけりゃならん。一生そんな気まずい思いをしちゃあ、ばかばかしい話ですよ。