Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
で、今日はとうとう誠吉に例の貯金の中から銅貨を何枚か渡して、誰にも秘密に、硝石と硫黄とを少しばかり買って来てもらったのである。
彼は誠吉を手真似で制しておいて、そっと病室の方をのぞいてみた。母はしずかに眼をとじている。敷布の上をはっていた蠅が、彼女の額に飛びうつったが、彼女はかすかに眉をよせただけである。蠅はすぐまたどこかへ飛んでいってしまった。祖母も茣蓙をしいて向うむきにねている。夜中に眼をさますことが多いので、午後になると、大ていぐっすり昼寝をする習慣になっている。ことに次郎が近くにいると、祖母は安心してねるのである。
次郎は、お祖母さんが眠っている時に出て行くのは悪いような気がして、ちょっとためらった。しかし、正木の家では、花火は危険だからと言って、なるだけ子供たちには作らせないことにしている。お祖母さんが目を覚ましている時だと、何とか口実を作らなければならないが、それも面倒だ。眠っている間に火薬の調合だけでもすましておく方が都合がよい。そう思って彼はすぐ立ち上った。そして、誠吉を顎でしゃくって先に行かせ、その後から、足音を立てないように、縁側を降りると、いっさんに築山のかげに走って行った。