Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
そこには、もう蝋鉢と擂古木と消炭の壺とが、誠吉によって用意されていた。二人は先ず硝石を擂り、次に硫黄を擂った。擂られた硝石と硫黄とはべつべつの紙に包まれて、大事に石の上に置かれた。最後に消炭を擂るのだったが、それは分量が多いだけに骨が折れた。二人は代る代る擂古木をまわした。一人が擂古木をまわしている時には、もう一人は鉢が動かないようにその縁をおさえていた。消炭は、指先で揉んでも、少しもざらざらした感じがしないまでに擂らなければならなかった。そのために、二人は、汗がしばしば顎をつたって鉢の中にしたたり落ちたほど、一所懸命になって擂古木をまわした。
消炭が十分擂れたところで、硫黄と硝石との粉が、適当の割合に、鉢の中に加えられた。あとはよくまぜれば、よかったのである。しかしよくまぜるには、やはり擂古木で擂る方が一番よかった。
で、次郎が先ず擂った。次に誠吉が擂った。次郎は、両手で鉢をおさえ、出来るだけ顔を鉢に接近さして中をのぞきながら、
「もういい、もういいよ。」と言った。
その時誠吉がすぐ手を休めさえすれば、何事もなくてすんだかも知れなかった。しかし誠吉はおまけのつもりで、しかも最後だというのでうんと力を入れて、急速度に擂古木をまわした。