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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

」

次郎は、これまでお浜が人の顔さえ見ると、よくそんなことを言っていたのを覚えている。そして彼は、そんな話が出ると、いつも内心得意になっていたが、母の口から今はじめてそれを聞かされて、急にそれがつまらないことのように思われ出した。同時に、彼は校番のむさ苦しい部屋が、無性に恋しくなって来た。

(偉くならなくてもいい。)

そんな感じが、はっきりとではないが、彼の心を支配した。一人ぼっちで、しかも、どちらを向いても突きあたるような気持でいるのが、彼にはたまらなく嫌だったのである。

「お浜のところへは、もうどんな事があっても帰さないよ。それも、みんなお前に偉くなって貰いたいと思うからのことだよ。……このお母さんの心が、お前にわかるかい。」

次郎には、もうお浜のところに帰れないということだけがわかった。

彼は今更のように悲しくなって、思わず涙をぽたぽたと膝の上に落した。飯粒のついた指が、急いでそれを拭いた。

お民は昨夜来はじめて次郎の涙を見て、それを自分の説教の効果だと信じた。そこで、簡単に説教のしめくくりをつけると、すぐ立ち上って、次郎のために椀と皿と箸を用意した。