Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
しばらくの間は、お浜と直吉だけが、其処此処と探しまわっていた。
しかしいくら探しても見つからないので、捜索は次第に大袈裟になっていった。いつも子供たちが隠れん坊をして遊ぶ米倉や、櫨の実倉は無論のこと、納屋や、便所や、床の下まで、総がかりで検べた。隣近所にも無論たずねてみた。しかし次郎の行方は皆目わからなかった。
みんなは捜しあぐんで、だんだんと土間に突っ立ったり、竈の前に蹲んだりしはじめた。大して心配なことはあるまい、という気持が、大抵の人の顔に現れていた。
その間を、お浜だけが、何度も裏口を出たり這入ったりして、落ちつかなかった。背戸には大きな溜池があって、蓮の枯葉が、師走の風にふるえていた。お浜は、ちょっと不吉なことを想像した。しかし、それを、口に出してまで言おうとはしなかった。
「次郎ちゃんのことだから、出しぬいて、一人で先に帰ったのかも知れない。」と、直吉が、竈の前で煙草をくわえながら言った。
「そう言えばお前さん達がそこで話しているうちに、一人で表の方へお出でなすったようだよ。」
と、姉さん被りの婢が、すべての謎はそれで解けてしまうかのような顔をして言った。