Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
工場の附近は、土塁や、拒馬や、鉄条網で、がんじがらめにかためられていた。実弾をこめた銃を持ち、剣をさげて、彼等は、そこを守った。
それ以外の場所には、守備工事は施されなかった。柿本は、折角、兵士としてやってきながら、この土塁や、拒馬にかこまれた区域からは、離れることが出来なかった。
居留民は、この守備区域内へやって来いというのだ。
そして、この区域内で保護を受けろというのだ。
では、何のために、彼は、この支那までやってきたのだろう?……
「おい、おい、ここのマッチは、軸木さえありゃ、板をこすっても、石をこすっても火が出るんだよ。」作業場へはいっていた三人が、珍らしげに黄色い、小さい函のマッチを一ツずつ持って帰ってきた。松岡と、本岡と、玉田だ。
三人は、柱や、床板をこすって、火をつけた。
「これゃ、内地のマッチとは異うよ。」
「俺等、子供の時に、ちょっと、そんなマッチを見たことがあるような気がするがな。ボスって云うんだ。」
と那須が沈んだ顔をしていた。
「これ黄燐マッチ、――と、そこの支那人が云っているんだよ。ちょっと、日本語の片ことが云えるんだ。」製麺工場の、まだ、ウドン粉くさい玉田が云った。