Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lesen Sie 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.959 Zeichen · 234 Bildschirme
日本太夫、診て、出血あります。クヮイクヮイデ。」
詰襟の善人らしい支那人は、日本語と、支那語を、ごちゃごちゃに使った。早く、幹太郎に用談を伝えようとあせる。距離のある眉と眉の間に、皺をよせた。あせると、あせるほど、日本語は舌の先でもつれてしまった。業を煮やして、とうとう、支那語ばかりで叫んだ。分った。
幹太郎は、軽蔑の眼を、小山とかわして冷笑している支配人に、むっとするものを抑えて、一言、ことわった。そして、すぐ、病院の方へとび出した。兵士たちが、街上に撤退する拒馬を重そうにひきずっていた。
「ちょっと待ちなさい。」母があとから呼んだ。
「……。」
幹太郎は、母だと知りつゝわざと返事をしなかった。
「ちょっと待ちなさい!」母は繰りかえした。
「何ですか?」彼は怒ったような声を出した。
「これを持って行かなきゃ駄目なんだよ。」虫がつめた子供のような母は、門鑑の巡警の前に立っていた。「これがなけりゃ駄目なんだよ。」
帯の間から、小さい、紙の小匣を取り出した。「快上快」だ。
「家は大丈夫ですか?」
幹太郎は、云いたくないと思いながら、やはり中津が気にかゝって口に出してしまった。